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何を話しているのか気になった俺は、できるだけ静かに近付いていく。
「……しはる……てた?」
「……つに……でも……いよ」
う~む、距離が遠いせいで会話がよく聞こえない。
てか、あの二人って知り合いだったのか?
「そこの二人って知り合いだったの?」
なんだか、会話を盗み聞きするのも気が引けたので直接二人の関係を聞くことにする。
「赤の他人以上友達未満。みたいな所かしら」
「…………」
俺の問いかけに対して、赤木さんからはなんとも微妙な関係という情報が得られた。
そして俺に向かって無言で視線ビームを発している緑川からは何の情報も得られなかった。
緑川……俺はニュータイプじゃないから言葉にしないと心は伝わりませんよ……
「…………」
赤木さん。
「…………」
俺。
「………………………………………………………………………………………………」
緑川。
その場を気まずい沈黙が支配し始めてしまった。
俺が会話に参加した事によって、赤の他人以上友達未満の二人は会話をやめて、黙りこくってしまった。
俺がいるせいで二人が話し難くなっているのだろうか……
「あ~、なんか俺は邪魔みたいだからそろそお病院に戻るね」
そう二人に告げて、松葉杖をつきながら歩き出すと左腕を赤木さんに、右手の小指を緑川にホールドされて身動きがとれなくなってしまった。
……はい?
俺、何か悪いことした?
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