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広大な草原に二人の人影が伺える。
もう夜遅くだと言うのに一人の少年と少女がそこにいた。
「ねぇ、聞いてるの?」
「うん、ちゃんと聞いてるよ」
少女が少しだけ顔をしかめて少年に問い掛けるが少年は投げやりに返答をする。
「星がとってもキレイだね」
「うん、キラキラして幻想的だから好き!」
「そうだねぇ」
呆れてしまった少女はこれ以上この話をしても無駄だと悟ったのか話をそらす。
俺は……この光景を知っている気がする。でも、ぼんやりと覚えているだけで具体的には全く覚えてない。いつだったか、俺はこの光景を見たのだろう。
「もっと近くで見たいなぁ」
少女が空を見上げながらぼんやりと呟いた。
はて、そういえばこの娘は誰だったのだろうか?全く覚えてない。
「それは無理なんじゃないかな?」
この少年は流れ的に俺なんだろうな、よくわからんが。
少女は「なんで?」と言いたそうに少年を見る。
見られていると気づいた少年は話し始めた。
「だってここより高い所なんてないじゃん!」
まだ世間を知らないような子供だ。少年にとっては自分の周りが全てだったのだろう。
「木に登ったらより近くで見えるよ! ――君登ろうよ!」
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