出生

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母の家出は うれしいのと同時に 飢えとの戦いでもあった。 最初の数日は母の いじめから逃れられたのだと うれしかったものの、 3、4日もたてば 当時小さいあたしは ご飯を作るにも作れず、 数少ないお金で コンビニのおにぎりを 悠紀とわけあうしか ない日々が続き、 飢えと戦うのだ。 母は家にあまり 帰ってこなかったから 家自体にお金をあまり いれてはくれなかった。 だから水道がとまっているときもあれば、 電気もとまったりした。 だから夏はあつく、 冬はとても寒かった。 この時あたりから 悠紀もちゃんと物事が わかってきたのだが、 悠紀は母からあたしの ことを悪魔だと 聞いていた。 だからそう思いきっていた悠紀はあたしのことを いつからか憎むようになり、 あたしのことを 蔑んだ。 あたしは裏切られたような 気持ちがしたが、 いつかきっと悠紀は 戻って来てくれると 信じていた。
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