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その日は母がまたどっかへ消え、
あたしと悠紀しかいなかった。
すでにその時にはあたしと悠紀は口すらきいていなかった。
悠紀の傲慢な態度、あたしを蔑む目、全てがいやだった。
なによりもあたしが面倒を見たのに母を崇拝する悠紀がどうしても許せなかった。
あたしは、悠紀を憎んでいた。
そんな時、お互い口を聞かないなかで、悠紀が退屈しだしたのか
あたしにからみはじめてきた。
「姉ちゃんなんかいなければよかったのに。迷惑だよ。」
母の受け売り。
「姉ちゃんがいるせいで母さんもあたしもつらいの、わからないの?」
これも母の受け売り。
どうして?
どうしてそんなに母の言いなりになるの?
その思いは、あたしの話す気力すら失せさせた。
そんなあたしを見て悠紀はいらだったようだった。
あたしをけり始めた。
いくらあたしが姉だといっても、溺愛されている悠紀と違ってろくにご飯も与えられていないあたしは、
悠紀よりも体が弱かった。
けれど、悠紀はそんなことにも気をとめず、
あたしを蹴り続ける。
だんだんと、あたしの意識が薄れていく。
シヌノカナ、あたし。
でも悠紀はあたしをコロシタラほめられるんだろうな。
そんなことをぼーっと考える。
悠紀が何か言ってる。
よく聞こえない。
なにもかもがフェードアウトしていく・・・
あたしの意識はきれた。
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