39人が本棚に入れています
本棚に追加
「……。」
幸村は無言のまま、端正な顔立ちの政宗を見つめていた。幸村自身も、政宗の顔に酔っているいるのか、半ば惚れ惚れしながら見つめている。
「……ん…。」
不意にくぐもった声が聞こえたかと思うと、政宗がやっと覚めたようだ。
「だっ大丈夫でござるか!?」
幸村は政宗が気がつくのを見て、政宗の顔を反射的に覗きこんだ。
「あ…ああ…!?」
政宗は目を徐々に開けると幸村の顔が目の前にあることで、完全に覚醒し、飛び起きる。
「大丈夫そうでござるな!」
幸村は安堵した表情でニッコリ微笑んだ。
「Thank you.」
政宗は頭をかきむしり、大きく伸びをするとずっと付き添ってくれたことに礼を言った。
「へへっ…。」
照れくさそうに笑う幸村を見て、政宗の胸は高鳴った。そして幸村の腕をグイッと引っ張った。
「ぅお!?」
突然のことに、体が動かずベッドに倒れ込む幸村に、政宗は覆い被さる。
「………。」
さっきの夢と同じ、虎。自分を、頬を赤らめて潤んだ瞳で見つめてくる。初対面…な筈なのに。
…何故か虎を知っている。
―アンタは一体誰なんだ?―
最初のコメントを投稿しよう!