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男友達を二人家に連れてきた。
玄関の扉の前には毛の長い猫が小さくなって列を作っていた
側に黒いファーストラップがおちていた
拾い上げるとそれは本物の猫の尻尾の先だった
断面には肉も骨も見えた
驚いて投げ出すと、尻尾の先も小さな毛の長い猫の列もみんな消えた。
玄関には毛の短い猫がいた
尻尾を引っ張ると尻尾は途中からなんの抵抗もなくすると抜けた。
外のガレージで小さなフリーマーケットが開かれていた
困惑する友達の一人にそれはメジナだから
といらついた口調で言った
フリーマーケットを漁っていたもう一人が、彼のものらしいハンディカムを手にして
そうみたい
とほうけた調子で呟いた。
風が強く吹いていた
青緑の絵本のような荒野の向こうに青い煉瓦づくりの街が見えた。
一人で家に戻ると小さな毛の長い猫がテーブルの真ん中でとぐろを巻いていた
メジナだ
と思ったら意識が遠退いた
視界がぼやぁーとなって耳は水が入ったみたいになった
なのにイヤホンを付けているように、知らない音楽がはっきりと聞こえていた
耳を塞いで目、醒めろと繰り返し叫んだ
自分の声はどんどん遠くなり、音楽はますますクリアになる
パソコンの前に倒れこんだとき、耳に聞こえていた音楽は男の笑い声と工事現場の重音に変わっていた。
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