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聖なる夜は奇跡を連れてくる。
子供たちに夢…恋人たちに愛…大人たちに優しさ…
でもスノーは違う…奇跡に向かって自ら歩き続けた。
それは、まぎれもない奇跡…
魔法による奇跡じゃない、魔法はきっかけにすぎない。
辛い過去を背負っていても、スノーは言わば温室で育った雪猫、野生を知らない…
そのスノーがついにここまで辿り着いた。
スノーの足はやっと止まることを許されていた。
傷つき疲れ果てボロボロの体が冬の寒さに震える…
…チリンチリン…
…チリンチリン…
見上げる先は都会の真ん中にひっそり建つアパート…
スノーは感じたここにユキがいると…
声を出す程の体力は残っていない。
だが幸運と言うべきか雪の降る冬の寒さがスノーの体を震わせ、鈴の音を奏でる。
…チリンチリン…
(…ユキ……逢いに来たよ……ユキ…。)
「…スノー!?」
スノーのかじかむ耳に届いた優しく懐かしい声…ユキの声。
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