列車の中、2

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「真、かぁー」 「うん」 「…………誰?」 ぴくっ、と彼女が反応する。 しかしあくまで無表情に彼女は運転に集中してて。と杞詠の首を正面に向かせる。 ぐきっと不吉な音が杞詠の体から聞こえてくるが彼女は聞かなかったことにした。 「……私が生きていた頃の、」 「わかってる。」 彼女の声を遮るように頷く杞詠。 それに些かムッとした顔になる少女。 「……年相応の顔。お前はもっと表情ゆたかになればいいのにさ」 「五月蝿い」 風なんか吹いていない筈なのに、彼女の髪が優しくふわり、と揺れた。 髪の隙間から覗く憂いの表情に思わず杞詠は見とれてしまいそうになる。 「……大人っぽいの。」 「本当は私だって、もっと年相応に生………振る舞いたいよ」 「そっ、か。」 沈黙。 ガタン、ゴトンとただただ定期的な揺れが響く。 暫くして、彼女はその部屋から出た。 「…………杞詠は、多重人格なのかな。」
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