確信

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夏休みも後半に入った頃、春菜とお祭りに行く約束をしていた。 『でもなんで、今日のお祭りの為に帰って来たの?』 今までフランスに行っていたのに、今日のお祭りの為だけに帰国した春菜は葵の浴衣の着付けをしている。 『今日のお祭りは一度行きたかったのよ。だから帰国してきたの。』 『それだけ?』 『えぇ、そうよ。…はい出来たわ。』 葵の背中を叩き終了の合図をだす。 結局、浴衣は淡い紫色のものにした。 『ありがとう。』 鏡でチェックしていると後ろで春菜が着付けを始める。 自分でできることが凄く羨ましく思える葵は、ベッドに座りマジマジと見る。 『どうしたの?そんなに見て。』 『いや、羨ましいなぁって思ったの。』 春菜は聞き慣れているため笑って流す。 あっというまに終了し、葵が髪の毛やる。 『春菜はパーマかかってるからやりやすいね。』 春菜も髪は長く、パーマをかけていた。 手先が器用な葵はアップにして欲しいと言うリクエストに答えすぐに完了。 お互い髪はあげているが葵はストレートでしっかり、春菜はふんわりした感じになった。 歩くと和柄のかんざしが揺れて綺麗だ。 『さ、行こう?』 『待ってよ春菜!』 下駄を履きお祭りへ向かう。下駄の音が季節感をより引き立たせる。 マンションからは歩いて5分ほどで、そこのお祭りは大きくいつもの道路が歩行者天国になっていた。 出店や踊り、太鼓にお神輿などひっきりなしに様々なものが目に入ってくる。 『葵、金魚すくいだわ!私一度もやったことないんだけど…どうやるの?』 『チャレンジャーだよね、春菜って。説明って言われても…とりあえず私やるから見てて?』 『やったことあるの?』 葵はお店の人にお金を渡し網と器を貰いしゃがみこんで、金魚を狙う。 『この網で狙った金魚を…こうやって、すくって器に入れるの。小さい頃お祭りの度にやってたから。』 しかし、葵の網は破けてしまい結局一匹だったけど店の人がおまけと言ってもう一匹いれてくれた。 『次は私の番ね!!』 気合い十分で挑んだ春菜だったが、結果は0匹。この時もお店の人は春菜に2匹くれたのだ。 それでも春菜は楽しそうだった。
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