新しい生活

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『…よし!できた!これで西崎と話していても疲れないな。』 『ごめんね、先生。いっつも話し付き合ってもらって…。』 『いや、俺も楽しいし聞いてもらってるしな。…それに、家の時はそうやって敬語ないほうが俺は好きだな。』 『あ…!』 言われから自分が敬語じゃない事に気付く。 『俺、気にしないから。学園では別だけどな?』 ベランダの境に肘を付いて笑って言う。 その姿に少しドキッとしてしまう。 『先生ちょっと待ってて?』 葵は小走りして中に行くとアイスコーヒーをグラスに入れて持ってきた。 『はい。』 『お!サンキュー。』 陽介は一気に飲み干し、グラスを渡した。 『ごちそうさま。』 『早…!』 『そうだ、今夜花火大会あるんだってな!ここから見えるみたいだから一緒に見ないか?』 『え?』 葵は突然の事にまた驚く。 『あ、でも西崎は下の出店の所行くか。』 『いえ、別に…ってか今日、花火大会?』 『お前、花火大会忘れてたのか?ロビーにデカデカとポスター貼ってあっただろ?』 …どうだったかなぁ。 腕を組み首をかしげる。 『おいおい。』 陽介は頭をかく。 西崎は一体どこ見て歩いてるんだ? そう思った陽介が質問してみた。 『もしかして、眼悪いのか?これ見えるか?』 ピースして見せる。 『先生バカにしてるでしょ?…誰だって30センチも離れてない所にあるものぐらい見えます!!』 葵は口調は怒っているが笑顔だ。 『ホントに覚えてないだけです。…皆に聞いてみよう。』 葵は携帯を持ってきてイスに座り、メールを3人に送るとタバコに火をつける。 『またそーやってタバコ吸う。』 『はーい。』 携帯を見ながら返事をするのに対し、ムッとする陽介は肘をついて外を見た。 すぐにメールがくる。 『…瑠美は無理、春菜も無理~。広太は微妙?微妙って何!?』 葵は携帯に向かって叫ぶ。 結局皆予定が入っているため無理だった。 最後の一息を吐き出しタバコを消す。 『先生は行かないんですか?下に。』 『あぁ。』 『…いつまでむくれてるんです?ちゃんと返事しなかったからって。』 イスから立って背伸びをする。 陽介は自分がとっても子供みたいでなんとなく恥ずかしくなり、葵と顔を合わせられなかった。
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