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『さて、買い出し行ってこようっと。先生は飲み物担当ね?私は何か摘まむもの作るから。』
『え?友達と行くんじゃないのか?』
『だから~無理だって言ったじゃん!じゃあまた後で。』
そう言うと葵は中に入り出かける準備をする。
『おい!勝手に決めるなよなっ!!』
葵の部屋に向かって叫ぶ。
デパートに行き買い物をする。
『あとは~…』
『葵?』
振り返ると生徒会長の桐生智彦がいた。
『あ、桐生先輩。』
『桐生先輩だなんてよそよそしいじゃん。幼なじみなんだからさ。』
『だけどなんか恥ずかしいじゃん。学園じゃ生徒会長なんだし、それなのに智君って呼ぶのは。』
葵は少し恥ずかしそうに言うと智彦も笑う。
2人の父親同士が親友で家も隣同士なため昔からよく遊んでいたのだ。
『葵、最近どこにいるの?家は夜ほとんど暗いし。』
『あ~、親が忙しいから。今は一人暮らし中。』
『へー。あ、この間の報道部のことなんだけどな。しばらく活動出来ないようにしたし、葵と光絡みのネタを全て禁止しといたから。』
それを聞き笑顔になる。
『本当に?助かった。もうどうしようかと思ってたんだ。学園じゃあんまり智君に会えないから…。』
『別に生徒会長室にきていいのに。』
『だってなんか行きづらいじゃん。学園の皆は私達のこと知らないんだし。』
『まぁな。でもなんかあったら言えよ?』
智彦は葵の頭を昔みたいに撫でる。
智彦は葵に接する態度は昔から変わらず、それは恋人ができても一緒だった。
『うん、ありがとう。今日はデート?』
『あぁ、向こうで買い物してる。そろそろ行かないと。』
『またね。』
二人は笑顔で別れる。
幼なじみでここまで仲がよくても、2人は恋愛関係になることがなかった。
お互いの中でそういう感情はなく、大切な友達であったのだ。
学園の皆が知らないのは智彦の配慮だった。
生徒会長の知り合いと言うだけで、過去に色々な事件が起きていたからだ。
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