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智彦と別れた葵は、家に戻り料理をする。
自分で料理をするようになってもう5年は経つ。腕もどんどん上がっていた。
・手羽の照り焼き
・ポテトとベーコンのチーズ焼き
・枝豆入り豆腐サラダ
『これだけあれば十分でしょ。』
作り終えラップをして一息つくとシャワーを浴びる。
『さっぱりした~。』
バスローブ一枚で出てきてベッドに横になる。
長い髪が濡れているため張り付いて気持ち悪くすぐに起きた。
さっさと乾かそう。
葵は髪を乾かし着替えをしてメイクをする。
丁度支度が終わる頃には外も暗くなり、いい時間になっていた。
料理を持って外へ行くと、陽介がビールを飲みながら携帯をいじっている。
『先生ズルい!』
『西崎が遅いんだろ?お!美味しそうだなぁ。これ作ったの?』
『もちろん。』
ベランダにあるテーブルに置きラップをはがす。同時に陽介の手が入り、手羽を持って行く。
『いただきます!』
葵は陽介の感想を待っていた。
『うまい!!スゴいな~西崎は。』
少し照れくさくなり、はにかんだ。
『はい、ジュース。』
『えー!?』
お酒がくることを期待していた葵は、ショックな声をあげた。
『タバコの事黙ってるんだから、このぐらいは我慢しなさい。』
『はーぃ…』
しぶしぶと返事をするが、仕方ないと諦め目の前にあるペットボトルを開けてグラスに注ぐ。
『いただきます!』
炭酸のジュースを一気に飲む。
『今日暑かったから喉渇いたろ?』
『うん。生き返った。』
二人は笑い合う。
すると突然下の方から空砲の音がした。
2人が何かと思っていると、目の前に大きく綺麗な花が咲いたのだ。
思わず歓声が漏れる。
『今夜は晴れてるから綺麗に見れるな。』
嬉しそうに言う陽介の横顔に、またしてもドキッとしてしまう葵。
急いで目を反らす。
なんでだろう…?
恋が始まっていると言うことが自分では気づいていなかった。
しかしその霧かかった気持ちも、この花火のように音を立てて葵の中で綺麗に晴れては咲いていく。
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