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それから一週間後…
葵と春菜と瑠美と広太は、約束した通りエステモデルと階堂の手伝いに向かう。
会場についた女子3人は、緊張しながら控え室に入るとスタッフと葵の母親が話をしていた。
『あら、もう着いたの?』
『うん。』
葵はスタッフに軽く挨拶を済ませると、母親に2人を紹介した。
『友達の春菜と瑠美。』
葵は手で差しながら紹介する。それに合わせてお辞儀をする2人。
『初めまして。いつも娘が迷惑かけて、ごめんなさいね。』
『いえ、そんなことは。』
春菜が首を横に振りながら答えると、葵の母親はにっこりと微笑む。
『いいお友達ね。今日はちょっと大変かも知れないけど、よろしくね。』
『はいっ。』
2人は緊張しながらも返事をした。
『ところで、お母さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…?』
『な~に?葵。』
『階堂さんの手伝いに行った友達なんだけど、手伝いって何してるの?』
葵は広太の仕事内容をまったく聞かされていなかった為、なかり不安になっていた。
『あぁ~。簡単に言えば客引きかしら。話に聞けばルックスはいいみたいだし。』
『まぁ…悪くはないと思うけど。』
『あとは階堂君に任せてあるから、どんな仕事かはわからないわ。…じゃあ、私は向こうで打ち合わせあるから、化粧落としてくつろいでいて。』
『はぁ~い。』
そう言うと慌ただしく部屋を出て行く母親。
部屋には3人と数人のスタッフだけになった。
葵達は、とりあえず荷物を置いてスタッフの指示に従いながらメイクを落としたりする。
その後、打ち合わせが終わった母親とスタッフに囲まれながら3人は衣装合わせをしていった。
葵は何度か、この手伝いをしていた為慣れていたが、春菜と瑠美は慌ただしく事が流れて行くのに付いていくだけで精一杯。
衣装やメイクも決まり、時間までくつろぐ3人。周りではスタッフが作業をしていた。
『ひゃ~、もう疲れた。』
『瑠美ー、まだ本番じゃないよ?』
葵は苦笑いしながら、携帯をいじる葵。
『彼、元気?』
春菜の言葉にドキッとする。
実はまだ誰にも話していなかったのだ。
とにかく独りになりたかった葵は、ほとんど部屋にこもったままで家政婦の鈴木や母親に心配されるほどだった。
『ぅ、うん。』
『良かったわね。』
春菜は笑顔で言うが、葵は苦笑いしかできなかった。
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