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そこに尚也から電話が入り、部屋を出て話せそうな所で電話にでる。
『…もしもし?』
「あ!葵ちゃん!?陽介から話し聞いたんだけど、別れたってどういうことなの!?」
『ぁ、え~っと…。』
「ケンカとかしたの?」
『いや、そういうわけじゃなくて…。』
なかなか本当の事が言えず、濁った回答ばかりだ。
「じゃあどうしたの?」
『と、とにかく私が悪いんですっ!あの、私、用事あるんで失礼します!』
一方的に切ってしまった。
本当の事を言えればどんなに楽だろうか。
そう思う葵だが、自分のせいでみんなに迷惑がかかってしまった事に対して、罪悪感でいっぱいになり言うに言えなかった。
そこに母親が通りかかる。
『葵?どうしたの?』
『お母さん…。』
『また体調悪いの?』
こんな時に、優しくしてもらう事ほどキツいものはない。
しかし、顔には出さない葵は笑顔で答える。
『ううん、大丈夫だよ。』
『そぅ。体調悪かったらすぐに言いなさい?』
『うん、ありがとう。』
そのまま別れると、1つ溜め息をついてから控え室に戻る。
午後 3時過ぎ
ようやく終わった女子3人は、葵の母親に食事をご馳走になる事になって、仕事が終わるのを待っていた。その頃、広太もなんとか終わり階堂が仕事を終えるまで自由時間となった。
『はぁ~、接客は疲れる。』
控え室のソファーで、ふんぞり返っていると尚也から電話が入る。
『はい。』
尚也は直接話しがしたいと言ってきた。
広太今は階堂の手伝いに来ている事を伝えると、偶然にも近くにいることがわかり店の外で会う事となった。
広太は階堂に外出許可をもらうと、待ち合わせしていたカフェに向かう。
突然、電話してきて直接合って話がしたいと言われた広太は胸騒ぎがした。
カフェに着くと、店の奥のテーブルに尚也が座っていた。スタッフにアイスコーヒーを頼むと席に座る。
『先生、どうしたんですか?急に…。』
『ごめんね。あのさ、広太は葵ちゃんから何か聞いてる?』
『え?何かって?…なんかあったんですか?』
少し焦る広太。
尚也は腕組みをして、暗い表情をした。
『聞いてないのか。…実はあの2人、別れたらしいんだよ。』
『えっ!?……そんな、冗談でしょう?』
突然の事に困惑する。
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