1793人が本棚に入れています
本棚に追加
出てきたアイスコーヒーを一口飲んで、落ち着いてからもう一度聞く。
『本当なんですか?』
『うん…。陽介が葵ちゃんから言われたって。』
『葵から!?』
『何か、原因に繋がるような事知らない?』
テーブルに腕を付き身を乗り出すようにして聞く。
『原因って言われても…。』
『葵ちゃんは何にも言わなかったらしいんだ。ただ、自分が悪いから。としか言わなかったみたいで。』
それを聞いた広太に、1つだけ思い当たる事があった。
『もしかして…。』
『あるの!?』
広太はそれを伝えた。
その日の夜は葵の母親と階堂と葵達の6人で、母親がよく行くレストランで賑やかに食事をした。
この時、広太は葵の事を注意しながら見ていたが特に変わった様子もなく、尚也の言っていたことが本当なのか不思議に思えた。
帰りは春菜の家の車で広太と瑠美は送ってもらう事になり、レストランで解散となった。
車の中では、広太が尚也に聞いた事を2人に話す。
『それ、本当なの?』
春菜が信じられないという顔で聞く。
『本当らしんだけど、さっきの葵見てたら嘘じゃないかなと思ったよ。』
『だって、私と春菜にはそんな話してないし…。』
『えぇ。それに今日先生の事聞いたけど普通に答えてたわよ?』
『うーん…。』
3人は誰が本当の事を言っているのかわからなくなった。
『葵は、たぶん俺達にこれ以上迷惑がかかると思ってそうしたんだろうけど…。』
広太が悩みながら言う。
『葵、自分せめてるとか…ないよね?』
瑠美が心配そうな顔をした。
『もしかしたら、罪悪感が強くて私達に言い出せないのかもしれないわね。』
春菜が困ったように言う。
『葵は責任感は若干強い方だからなぁ~。…まぁ、無理に聞こうとすると逆効果になりかねないから、ここはしばらく知らないふりして様子見るしかなさそうだな。』
『大丈夫かな~。』
3人の重い空気が車内に漂う。
『広太、あの兄弟はどうなってるの?』
春菜が気になっていた事を聞く。
『窪田兄弟か。今調べてるけど、まだ情報が入ってこないんだ。』
広太はあの事件後、藤本弥生に話をして妹の夏樹から情報を入れてもらうようにしていたのだ。
だが、夏休みな為なかなか予定が合わず情報が入りにくくなっていた。
『何もないといいけど…。』
春菜の言葉は、溜め息と共に消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!