意外な展開

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その後、みんなはそれぞれ家族旅行など毎年と同じように過ごしていた。 しかし葵は、あまり外に出ようとせずに部屋にこもりがちになり、食事も精神面と夏バテが重なったのか食べる量が減っていき、時々病院へ行き点滴をうっていた。 葵の母親は、仕事が忙しい中葵の事を凄く気にかけていたが、 『ただの夏バテだよ。心配しないで。』 と言うだけで何も話さなかった。 そんな時、隣に住む智彦がお菓子を持って遊びに来た。 『葵~、入るぞ~?』 『智君!?どうしたの?』 突然の来客に驚く葵。 だが、もっと驚いたのは智彦の方だった。 以前より痩せていて、顔色もあまり良くない葵を見て心配する。 『どうしたんだ、葵!どっか具合でも悪いのか!?』 テーブルに置いてある薬を目にして、余計心配する。 そんな智彦に苦笑いする葵。 『大丈夫だよ。夏バテがちょっと酷いだけだから。』 『夏バテって…。』 『大丈夫だってば~。心配しすぎだよ、智君は。』 葵は、笑いながらテーブルの上にあった雑誌や薬を片付けると、お茶を持ちに部屋を出た。 その隙に薬の説明が書かれている紙を見つけ、その内容に驚く。 『夏バテだけで、こんなに処方されんのか?』 智彦は、すぐに何かあったと感づいた。 お茶を持って来た葵は、智彦が持ってきたゼリーを貰い食べ始める。 『冷たくて美味しね~。…食べないの?』 ゼリーに手を付けず、少し険しい顔で葵を見る。 『どうしたの?そんな怖い顔して。』 首を傾げる葵に、ゆっくりと話す。 『なぁ、…本当は何かあっただろ?』 『また言ってる~。だから、夏バテだって言ってるじゃん。』 『じゃあ、何で夏バテだけで精神安定剤とか飲んでんだよ?』 『え?…なんでそれ。』 『さっき、これ見つけて読んだ。…おかしいだろう、夏バテだけなのにそんなのまで飲んでるなんて。』 智彦はテーブルに、みつけた紙を置く。葵はスプーンを離し、下を向いた。 『なぁ、何があったんだ?』 智彦は葵の近くに寄る。 『何かあったら言えって言っただろ?』 その瞬間、葵の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちた。 『葵…?』 智彦は優しく頭を撫でて、包み込む。 別に好きだからとかではなく、智彦にとって葵は妹のような家族の存在であったから。 葵は今まで張り詰めていた糸が切れ、溜め込んでいたものが流れるように出てきた。
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