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毎日が、すごく楽しかった。
…ある日までは。
『ちょっと、どういうこと?』
『…ごめん。』
西崎葵(2年)と河原光(3年)は、桜が散る学園の屋上で向かい合っている。
この2人、実は聖堂学園で有名なカップルなのだが、光が浮気している噂が葵の耳に入り事実を聞いている。
『ごめん。って浮気してたってこと認めるの?』
『…。』
葵は怒っているが口調はすごく冷静で、光が黙ってしまうほど怖い。
『わかった。…別れよ?』
『でも、1回だけだろ!?』
『1回?噂ではすでに5回はしてるって聞いたケド?3年生の美術部に吹奏楽部の子、他の学校の子とか。』
『そんなのデタラメに決まってるだろ!?だいたい俺はこの学園内の子には手を出してないし……!!』
しまったと思ってももう遅い。
『なるほどね~。』
『ちがっ!…葵、俺』
『もういい!』
光が言い終わる前に葵の言葉でふさぐ。
『私が今までのことに気付かないほど、鈍感だと思った?…光とはもう疲れた。』
葵の目には涙が滲んでいる。
そんな時、光の後ろから葵達の事をまだそんなに知らない後輩達が、声をかけながら走ってくる。
『それじゃ。』
『葵!!』
引き留めようと手を伸ばすが、後輩に引っ張られてしまい光の手の中には風がすり抜けた。
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