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『春菜…。』
『なぁに?』
『あのね…えーと、陽介との事なんだけど…。』
『うん?』
『…別れたの。』
春菜は、知っていたがまさか今ここで聞かされるとは考えもせず、ただ固まってしまった。
『ごめんね、驚かせて。でも、言わなきゃって思ってたし…。』
『い、いつなの?』
『夏休み中。』
少し間を置いてから、春菜がため息をもらす。
『やっぱりね。』
『え!?やっぱりって?』
『広太の情報に狂いはなかったみたいね。』
そう言うと、影から広太と瑠美が出てきた。
『2人共!聞いてたの!?』
『ごめんね、葵!』
瑠美が顔の前で手を合わせて謝る。
『広太の情報って、みんな知ってたの?…なんで何も言わないのよ!?』
『言えないよ。周りに心配かけないように必死に笑顔作ってる葵みたら。』
広太が少し悲しい顔で言う。
『だから、私達は葵から話すのを待ってたのよ。』
『春菜。…みんな黙ってて、ごめんね。』
俯いて、申し訳なく謝る。
『別に謝ることないって。俺達は怒ってないし。』
広太がいつもの笑顔で言うと葵は苦笑いした。
その後、春菜が別れた理由を聞く。
『理由ってなんだったの?キャンプの件?』
『うん…。やっぱりこれ以上陽介やみんなに迷惑かけれないから。』
次の瞬間、瑠美が声を大きくして言い出した。
『迷惑だなんて思ってないよ!迷惑って思ったら葵と一緒にいない!』
『瑠美。』
『だから、そんなに自分追い詰めるようなことしないでよ!…あれから葵に元気なくなって、今日みたら痩せててすごい心配したし。』
泣き出す瑠美。
横にいた広太が頭を撫でながら頷く。
『瑠美の言う通りだな。俺達は友達なんだから、頼れる時に頼るもだよ。』
『そうね。じゃなかったら、一緒にいてつまらないもの。』
春菜が微笑んで言うと、葵も泣き出した。
『ありがと…。』
葵はすごくすごく感謝し、改めて思った。
3人が友達で本当に良かったと。
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