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広太は腕を組みながら、画面を見る。
『まぁ、だいたいの予想はつくけどな。ただ俺のパソコンからじゃ、誰が書いたかは特定出来ないんだ。』
『調べられるの!?』
葵が驚くのも無理はなかった。
なんせ、この掲示板の書き込み欄にはハンドルネームと文章と日付、そしてわけのわからない数字と英語しか書かれてないのだ。
『この最後の暗号みたいな数字と英語を解読できるのは、教師と生徒会委員だけなんだ。それも教師用か生徒会用のパソコンじゃないと無理。』
『完璧無理じゃない。このままじゃ葵の誤解が…。』
心配する春菜だが、それは的中した。
ピンポンパンポーン
「3年A組、西崎葵。至急職員室まで来るように。」
校内放送が入る。
その瞬間、一気に葵の元に視線が集まる。
『あーぁ。面倒くさい事になってきた。』
笑いながら話す葵。
『笑ってる場合!?あなた呼び出しされたのよ?』
『春菜~。これは嘘だって言ってるじゃん。焦ることなんか1つもないよ。』
そう言って席を立つ。
職員室へ向かう間も視線は痛いほど浴びるが、別になんとも思っていなかった。
コンコン
『失礼します。』
葵が職員室へ入るなり、担任の山中先生と学年主任と教頭が腕を引っ張って指導室へ連れて行かれる。
『西崎、どういう事なんだ?』
『何がです?』
山中先生の質問に少し惚けてみる。
『知ってるだろう。学園の掲示板だ!』
学年主任がしびれを切らして、声をあげながら聞いてきた。
『あぁ、はい。先ほど見てきました。』
『…あれは嘘だよな?』
嘘だと言ってくれと、言わんばかりの顔で問う山中先生。
葵は一息ついてから、笑顔で答える。
『嘘に決まってるじゃないですか。』
山中先生は安心して椅子に座る。
『だよな~。西崎がそんな事するわけないもんな。』
『しませんよ。それより、すごい迷惑なんですけど。これ書いた人、誰なのかわからないんですか?』
『それは今、こちらで調査中だから気にしなくていい。』
ぶっきらぼうに答える教頭が葵は大嫌いだった。
『そうですか。お話しは以上ですよね?…じゃあ失礼します。』
一礼して部屋を出ようとした時、教頭が話し始めた。
『そもそも、君の生活態度に問題があったからこんな事になったんじゃないのか?』
この一言にぶちキレる。
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