1793人が本棚に入れています
本棚に追加
春菜と瑠美は周りに、この事が嘘だと伝え、広太は副生徒会長の弥生と連絡をとり、誰が書き込みしたのかを調べてもらう事にした。
葵は迎えの車が来る間、保健室で待つことにして尚也と話しをする。
『なんかあったの?あんなとこにいたけど。』
『先生知らないんですか!?』
尚也に掲示板の事を言う。
………
『えー!?そんなことになってたの?』
『おかげで私は3人から問い詰められて、周りからは白い目で見られる始末…。』
ベッドにうつ伏せになる。
開いている窓からは、心地よい風が入りカーテンを揺らす。
『書き込みしたのも誰かわからず…教頭先生からは生活態度が悪いって言われるし。』
『それでもめてたわけか~。』
そっと葵の横に座る。
『…最初からやめとけば良かったんだろうね。そしたら、先生達にも迷惑かけなくて済んだのに。…ごめんね、先生。』
尚也を見ながら謝る葵の顔は、今にも泣き出しそうだった。
『そんなことないよ。最初からどうなるってわかるわけないし。』
『うーん…。』
ため息を付く葵を見て、思っていた事を口にした。
『本当は、まだ好きなんでしょ?』
『え?』
驚いて起き上がる。
尚也は笑っていた。
『違う?』
『……。』
何も言えずに、またうつ伏せになる。
『別れたのは陽介のため…でしょ?』
『だ、だって…もしもの場合考えると、これ以上一緒にいるわけにはいかないから。』
『じゃあ、なんで陽介にその事話さなかったの?』
『それは…。』
言葉に詰まったところで葵の携帯が鳴る。
『迎え来たんで帰ります。話し聞いてもらってありがとうございました。』
苦笑いしてお辞儀をする葵。
『いいえ。気をつけてね?』
微笑んで言うと、葵はそのまま車の所に向かった。
尚也はパソコンを立ち上げて、裏掲示板を開く。しかし画面には閉鎖の文字が映っていた。
力になってあげたいけれど、今の状況では何も出来ずため息をつく。
『独身の男性教師マークされてるしなぁ。一応僕も入ってるだろうし…なんかないかな~。』
パソコンを閉じて外を見る。
校庭やテニスコートからは、体育をする生徒の声が聞こえていた。
最初のコメントを投稿しよう!