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その後、葵には今月いっぱい自宅学習するよう山中先生から伝えられた。
『今月いっぱいって、長すぎ。』
ノートから顔を上げてベッドに横になる。
静かな日中ほど、暇なものはない。
山中先生から話しを聞いた母親は案外さばさばしていた。
この話しはすぐに父親にも伝わり、急遽帰宅し家族会議と名乗る質問攻めにあったのだ。
しかし、父親は怒らずただ質問しては話しを聞いての繰り返しだった。
今思えば、10年ぶりぐらいに父親とまともに話をしたな。と思う葵。
『まともに話したのが、学校で問題になった事だなんて、最悪。』
天井を見ながら笑う。
コンコン
ノックをする音が聞こえ体を起こすと、鈴木が入ってきた。
『お嬢さま、智彦様がお見えです。』
『え?』
『よっ。』
鈴木の後ろから顔を出す。
『智君、大学は?』
葵は部屋を片付けながら聞く。
『今日はもうないんだ。やることもないし、様子見にきたけど大丈夫そうだな。』
智彦は適当に座ると、鈴木が持ってきたお茶を飲む。
『あれ?なんで私が家にいるってわかったの?』
『大学にまで噂とか流れてるからな~。』
『ってことは、…全部知ってるんだ?』
『一通りはな。』
葵は苦笑いしながら、ベッドに寄りかかる。
『そっかぁ。今、書き込みした人が誰か探してるみたい。』
『それにしては時間かかりすぎじゃないか?あんなもん1時間もかからないぞ。』
『それが、書き込みした人のIDで生徒調べて聞いたら全然知らないって言うし、しかもカード無くしてたんだって。』
『じゃあ、他人のカード取って掲示板入ったのか。なんて事を…。』
智彦は呆れてため息をつく。
『まぁ、だいたいは検討ついてるんだけどね。』
『窪田の弟か…。』
葵は黙って頷く。
『彼は生徒会長となんかありそうなの。』
『やっぱりそうか。どうせ金でも動いてんだろ~。』
智彦も独自の情報網で色々と集めてはいるが、肝心な所が掴めずにいた。
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