事件勃発

10/14
前へ
/256ページ
次へ
その後、葵には今月いっぱい自宅学習するよう山中先生から伝えられた。 『今月いっぱいって、長すぎ。』 ノートから顔を上げてベッドに横になる。 静かな日中ほど、暇なものはない。 山中先生から話しを聞いた母親は案外さばさばしていた。 この話しはすぐに父親にも伝わり、急遽帰宅し家族会議と名乗る質問攻めにあったのだ。 しかし、父親は怒らずただ質問しては話しを聞いての繰り返しだった。 今思えば、10年ぶりぐらいに父親とまともに話をしたな。と思う葵。 『まともに話したのが、学校で問題になった事だなんて、最悪。』 天井を見ながら笑う。 コンコン ノックをする音が聞こえ体を起こすと、鈴木が入ってきた。 『お嬢さま、智彦様がお見えです。』 『え?』 『よっ。』 鈴木の後ろから顔を出す。 『智君、大学は?』 葵は部屋を片付けながら聞く。 『今日はもうないんだ。やることもないし、様子見にきたけど大丈夫そうだな。』 智彦は適当に座ると、鈴木が持ってきたお茶を飲む。 『あれ?なんで私が家にいるってわかったの?』 『大学にまで噂とか流れてるからな~。』 『ってことは、…全部知ってるんだ?』 『一通りはな。』 葵は苦笑いしながら、ベッドに寄りかかる。 『そっかぁ。今、書き込みした人が誰か探してるみたい。』 『それにしては時間かかりすぎじゃないか?あんなもん1時間もかからないぞ。』 『それが、書き込みした人のIDで生徒調べて聞いたら全然知らないって言うし、しかもカード無くしてたんだって。』 『じゃあ、他人のカード取って掲示板入ったのか。なんて事を…。』 智彦は呆れてため息をつく。 『まぁ、だいたいは検討ついてるんだけどね。』 『窪田の弟か…。』 葵は黙って頷く。 『彼は生徒会長となんかありそうなの。』 『やっぱりそうか。どうせ金でも動いてんだろ~。』 智彦も独自の情報網で色々と集めてはいるが、肝心な所が掴めずにいた。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1793人が本棚に入れています
本棚に追加