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翌月
葵の自宅学習も解け、ようやく学園に行けるようになった。
学園に行くと、春菜と瑠美と広太はいつも通り話しかけてくる。
クラスの大半も同様だった。
しかし、中にはまだ白い目で見る生徒や先生がいる。
でも葵はそれを気にもしなかった。
クラスに着き、葵を囲んで話しをする。
『それで、結局亮平とかどうなったの?』
葵が広太に聞く。
『まだ…。でも情報は入って来てるから、もう少し。』
『そっか。じゃあ、あとは証拠だけか~。』
葵が、うーんと唸る。
『とりあえず、葵の自宅学習解禁になったんだし。今日は遊ぼうよ!』
瑠美の提案にみんなが賛成した。
放課後
指導室に呼び出された葵は、また3人からお説教をくらっていた。
『いいですか?今後、このような事がないよう、しばらくは真っ直ぐ帰宅するように。』
『はーい…。』
教頭からの一言で、予定していた事も中止になってしまった。
『返事は短く!それだから問題になるんだろう。』
声を張って言う学年主任にうんざりしていた。
『すみませんでした!お話しは以上ですよね?それでは失礼致しますっ!』
少し怒りながら出て行く。保健室に行く間、ブツブツと文句を言う葵。
『誰が書いたのかもわかってないのに、偉そうに~!ホントやだ!!』
早足で保健室へ行くと、尚也と楽しそうに話をしている3人が、一斉に葵を見る。
『葵ちゃん、久しぶり~。お話終わったの?』
尚也がいつもの笑顔で出迎える。
『はい。しばらく真っ直ぐ帰宅するようにと、釘刺されてきました。』
いまだに怒りはおさまらない。
みんなは怒りながら話す葵を見て、何を言われて来たのか大体は想像がついた。
『じゃ、じゃあ今日は大人しく帰った方が良さそうだね。』
瑠美が気まずそうに言うと、広太と春菜は頷いた。
葵は聞こえていないらしく、未だにブツブツと文句を言っている。
『葵ちゃん、相当我慢したみたいだね。』
『葵は教頭先生と学年主任の先生が嫌いだから。』
尚也の言葉に頷きながら、広太もため息混じりで話す。
それからしばらくは、遊ぶこともなく真っ直ぐ帰宅した葵だった。
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