事件勃発

12/14
前へ
/256ページ
次へ
翌月 葵の自宅学習も解け、ようやく学園に行けるようになった。 学園に行くと、春菜と瑠美と広太はいつも通り話しかけてくる。 クラスの大半も同様だった。 しかし、中にはまだ白い目で見る生徒や先生がいる。 でも葵はそれを気にもしなかった。 クラスに着き、葵を囲んで話しをする。 『それで、結局亮平とかどうなったの?』 葵が広太に聞く。 『まだ…。でも情報は入って来てるから、もう少し。』 『そっか。じゃあ、あとは証拠だけか~。』 葵が、うーんと唸る。 『とりあえず、葵の自宅学習解禁になったんだし。今日は遊ぼうよ!』 瑠美の提案にみんなが賛成した。 放課後 指導室に呼び出された葵は、また3人からお説教をくらっていた。 『いいですか?今後、このような事がないよう、しばらくは真っ直ぐ帰宅するように。』 『はーい…。』 教頭からの一言で、予定していた事も中止になってしまった。 『返事は短く!それだから問題になるんだろう。』 声を張って言う学年主任にうんざりしていた。 『すみませんでした!お話しは以上ですよね?それでは失礼致しますっ!』 少し怒りながら出て行く。保健室に行く間、ブツブツと文句を言う葵。 『誰が書いたのかもわかってないのに、偉そうに~!ホントやだ!!』 早足で保健室へ行くと、尚也と楽しそうに話をしている3人が、一斉に葵を見る。 『葵ちゃん、久しぶり~。お話終わったの?』 尚也がいつもの笑顔で出迎える。 『はい。しばらく真っ直ぐ帰宅するようにと、釘刺されてきました。』 いまだに怒りはおさまらない。 みんなは怒りながら話す葵を見て、何を言われて来たのか大体は想像がついた。 『じゃ、じゃあ今日は大人しく帰った方が良さそうだね。』 瑠美が気まずそうに言うと、広太と春菜は頷いた。 葵は聞こえていないらしく、未だにブツブツと文句を言っている。 『葵ちゃん、相当我慢したみたいだね。』 『葵は教頭先生と学年主任の先生が嫌いだから。』 尚也の言葉に頷きながら、広太もため息混じりで話す。 それからしばらくは、遊ぶこともなく真っ直ぐ帰宅した葵だった。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1793人が本棚に入れています
本棚に追加