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それから2人は歩き回った。
射的にヨーヨー、リンゴ飴にわたあめ、焼きそばとたこ焼き…などなど。
手にはお土産でいっぱいになっていた。
日も暗くなりクライマックスが始める頃、葵達はマンションに帰ってきてソファーでくつろぐ。
『疲れたね~。』
『うん。でも楽しかったわ!』
本当に春菜は楽しそうだった。
『春菜ってお祭り行ったことあるよね?』
『うん。でも小さい頃は体弱かったり海外行ったりしていたから、お祭りに行くようになったのは最近なのよ。』
『だからそんなにはしゃいでたのね。』
笑い合うが疲れているため元気がない。
♪~♪~
春菜は携帯を開けてでる。
『もしもし?』
春菜は電話でも楽しそうに話している。
葵はキッチンへ行き換気扇を付けてタバコを吸う。
楽しかったけど疲れたなぁ。…先生何やってるかな。
陽介の事を考えながらボケーっとしていると、春菜がベランダへでているが様子がおかしい。
電話は終わったみたいだが左を見て固まっている。
タバコを消してベランダへ向かう。
『春菜、どうしたの?……あ!』
葵も固まる。
2人の目線の先には、同じく固まっている陽介がいた。
『なんでーっ!?』
春菜は陽介を指さして叫ぶと、顔だけ葵に向ける。
『どう、いうことなの?葵!』
『ぇっと…お隣さん。』
もうそれしか言葉がでてこなかった。
『お隣さんって、東谷先生じゃない!先生も何やってるんですか?!』
『…と、とりあえずビール飲んでます。』
春菜の勢いに負けて思わず敬語になる。
『ビールじゃないわよ!葵!説明しなさい!!』
いつもの春菜の口調とまったく違う。先生に向かってあんなことまで言っている。
『春菜、とりあえず落ち着いて…。』
『無理!』
葵はため息をつくと説明しはじめた。
引っ越してきたこと、学園や皆にもないしょのことやベランダで話すことなど。
『そうだったの…。』
ようやく落ち着き始めた春菜にホットコーヒーを渡す。
『ごめんね。でも言えなかったから…。』
『…うん、仕方ないわよね。他に知ってる人はいるの?』
『春菜だけだよ。だから言わないでね?』
『わかってるわ。こんなことがばれたら学園中大騒ぎよ。ただでさえ色んな意味で人気があるんだから、東谷先生は。』
イスに座りホットコーヒーを飲む。
別に悪いことした訳じゃないのに何故か叱られた気分の陽介と葵。
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