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『で、なんだったの?』
広太が瑠美に聞くと葵の事を話した。
『あ~…やっぱり。放課後すごい噂だったよ。』
『えー!?もう出回ってるの?やだな~。』
葵が泣きそうな顔をする。
『先輩のトコには、報道部がついて回ってるみたいだし。パパラッチ状態で、葵のことも探してたなぁ。』
それを聞き女子3人は固まり、葵は青ざめる。
報道部とは、学園内の色んな情報を新聞などにして配ったり掲示板に貼ったりしている。
彼らの行動はマスコミと同じぐらい少し過激なのだ。
『…今学園に行けば私も同じはめに?』
『なんとかならないかしらね~。彼らすごいしつこいのよ。』
過去に被害にあった春菜がため息混じりで言う。
春菜の場合も恋愛関係だったが報道部のおかげで台無しにされ、キレた春菜は報道部を処罰するように生徒会長に申したてた。
生徒会長は報道部に対し脅しをかけ春菜と元彼に謝罪させ、それ以来報道部は学園外での写真撮影及び質問や過激取材は禁止となった。
『最近また過激になってきてるよね~。』
広太がケーキを頬張りながら言うのに対し3人は頷く。
『会長もご存知だとは思うけど…困ったわね。』
『さすがに2日連続は休みたくないし。でも行きたくないなぁ。』
葵が落ち込む。
『大丈夫!!いざって時は私達が守るし!』
瑠美の言葉に二人も頷き、葵は嬉しくて思わず涙が出てくる。
『ありがとぅ~。』
プライベートな事なのにこんなにも協力してくれる友達がいてくれることに、心底嬉しかった。
夜になりとりあえず帰ることに。
葵はエレベーターの所まで見送り部屋へ帰ろうとした時、声をかけられ振り返る。
『東谷先生…!?』
そこには数学教師の東谷陽介が立っていた。
『なんで先生こんなとこにいるんですか?』
『なんでって、忘れたのか?この前隣に引越してきたじゃん。』
…忘れてた。
陽介は葵の隣に引越したばかりで挨拶を受けたが、光と別れたことで頭がいっぱいだったため、そんなことなど忘れていたのだ。
『あ、あぁ~!そうでしたね!!すいません』
焦りながら苦笑いする。
『そぅいえば今日休みだったけど体調はもういいのか?』
『え?あー…はい。明日から行けるんで大丈夫です。ご心配おかけしてすみません。』
葵は丁寧にお辞儀をした。
『…まぁ、なんかあったら言えよ?隣なんだし。』
陽介は微笑んで葵の頭を優しくポンと撫でた。
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