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僕は最近思うんだ。
人は何か大事なモノを失ってから、
その大切さにやっと気づくんだって。
僕は16歳で家族を失った。
家に強盗が押し入り、両親と妹が殺されて家は放火された。
僕が遊びから戻ったときはもうおそかった、
近所の人が火事に気付き電話をしてくれたみたいだったけど、僕の家族が助かることはなかった。
その後はまるで心に大きな穴が開いたような感覚にしばらく襲われた。
それは今も続いていると思う。
僕の名前は真田あつし
その後僕は父の知り合いの好意によってある孤児院に入る事となった。
そして僕は今、その孤児院の門の前にいる。
「Welcome to Our Family」
門の近くにかけてある立て札にはそう綺麗で派手な字で書いてあった。
僕は今日からこの孤児院の中の家族の一人として生きていくことになるのだ。
緊張と期待などの色々な気持ちが胸の中にあった。
太陽は僕を照りつけているが、
風が吹きその暑さを紛らわしてくれるみたいだった。
(目を瞑って胸に手を置いて五つ数えたら中に入ろう)
僕は心の中で呟いた。
僕は目を瞑って五つを数え始めた。
1…
2…
3…
4…
5…
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