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お前は誰だ?
「あれ?スグルちゃん、上がっていいよもう。十時まわっちゃってるじゃん」
調理場のバックヤードで無洗米の5キロ袋を棚に納めていた優(スグル)に古株の従業員が声を掛ける。
「え?あ、ハイ…コレ終わったら、上がります」
「ありがたいけど、早めに上がってよ。遅くに高校生働かすと、いろいろうるさいからさ」
「は~い、了解っす」
先輩の背中を見送った視線が、そのまま壁の時計へと移動する。針が10時5分を指していた。
バックヤードの扉から顔を突き出して、調理場越しにホールをのぞきこみ、カウンターで丼をかき込んでいる客を一瞥してから、つぶやいた。
「…今日は、来ねぇのかな。あの子」
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