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タケルは振り上げた腕を下ろし、大きなため息をついてポケットに黒の携帯を入れ家の中に入って行く。
【壊した携帯が帰ってるなんて……そんなホラーな事無いとは思うけど、家の前に残骸が散らばっても面倒くさいからな】
そんな事を考えながら玄関を開くと、母の明るい声が聞こえてくる。
『おかえり、タケル。
今日は早かったのね!
ご飯は家で食べるんでしょ?』
『あぁ、あんまり食欲無いからお茶漬けとかでいいよ』
『せっかくグラタン作ったのに』
タケルは母の寂しそうな声を背中に受けて自分の部屋に向かう。
部屋に入りスーツをハンガーにかけたタケルは机の上に裕香の日記を置き、ソファーに借りてきたDVDを投げるように置いた。
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