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「龍也君、また修理するために場所を借──」
「ファック! チクショウ! また失敗かよクソッタレ!! 次ミスったらぶっ殺してやる!!」
朗らかな挨拶の返事は、超乱暴な規制音が入っても文句が言えない言葉達でした。
……えっと、今頭をガシガシ掻きむしっているのが大家さんこと須賀龍也【スガ タツヤ】君。今年でお酒を楽しめるようになった二十歳です。実は去年から飲んでたけど。
彼は僕より1つ歳が上なんだけど、性格に難があるせいで停学をくらい、現在は僕と同じ二年生。
性格は普段は気の良いお兄さん。なんだけども、実験とか実習になると性格がさっきみたいになるらしくて……
「龍也君、修理し──」
「だぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁ! また失敗かよ! あぁもう解体したい解体したい解体したい解体したい解体したぃぃぃぃいいい……」
一応フォローしておくけど、龍也君は機械を解体したいだけだからね。狂った生物学者とかじゃないから、普段は真人間だからね。
「かいたいかいたいかいたいかいたたきかいかいきききききき」
「龍也君!!」
「……なんだ、優樹じゃないか。驚かさないでくれよ」
「驚いているように見えないんだけど……」
「驚いてるじゃないか。この胸のカラータイマーが」
「なにその無駄な発明!」
龍也君の胸には、赤と青が交互に点滅している半円状の水晶体が付いていた。驚いたら点滅するためだけの機械とか、一体何の意味があるんだか。
「そんなことより、作業台借りていい?」
「駄目だって言っても使うだろ。手前の作業台が空いてるよ」
「えへへ、いつもありがとうね」
返事変わりに手をひらひらと振り、再び作業台と向き合う龍也君。
一旦部屋に戻り、冷蔵庫に入れておいた荷物を部屋に置いて作業場に向かう。
作業台の上に乗せ、さっそく冷蔵庫の裏側を外して中身を拝見。
冷却機構は最近流行りのヒートポンプを使用しているものらしい。最近はエコだの地球温暖化だのいっぱい言ってるからね。二酸化炭素が原因って言われてるけど、あれってグレーゾーンらしいよ。マイナスイオンが出るドライヤーみたいな物だね。真相は神のみぞ知る……みたいな。
他に変わったところもないので、銅線を繋ぎ直して修理は無事に終了。これで捨てるなんて、もったいないなぁ。
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