0kw/話 10億Vの発端

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「……そういや、拾ってから掃除してないじゃない。これからお世話になるんだし、ちゃんと綺麗にしてあげないと」  キッチンに行って濡らした布巾をよく絞り、冷蔵庫を丁寧に拭いていく。元があまり汚れていなかったとはいえ、拭いた場所が先程よりも一段とキレイになっているのがわかる。もちろん、中身も忘れることなく。 「あれ、もうこんな時間?」  ふと時計を見れば、いつの間にか針はもう九時半を示していた。  さっき見た時はそんな時間じゃなかったような気がするんだけどなぁ。やっぱり新しい家具を家に入れたらテンションが上がって時間の流れが早く感じちゃうんだろうか。恐るべし次世代(ニュージェネレーション)。  ちなみに、テンションが上がるって使うのは日本だけらしいよ。本当は『テンションが張る=緊張する』って使うみたい。以上、ただの豆知識。 「今日はご飯を食べてからお風呂に入って、さっさと寝ちゃおっと」  タンスから寝間着と下着を取り出すと、心なしか軽い足取りで風呂場へと向かった。        ☆   ☆ 「あぁ~、さっぱりしたぁ……」  思わず湯船で鼻歌を口ずさむほどにリフレッシュした僕は、すぐにテーブル(ちゃぶ台)の上にご飯の準備を始める。まぁ、準備って言ってもコップにお茶を淹れて、スーパーで売っていた半額弁当(もちろんラノベみたいに戦士達は居なかった)を電子レンジで温めるだけなんだけど。  電子レンジに半額弁当を入れ、『あたため』と書かれたボタンを押す。温められている間に窓を開ければ、むわっとした熱気と共にどしゃ降りの雨が地面を打つ音が耳に入ってきた。降ってくる前に帰ってこれて良『チーンッ!』 「えっ、なんか早くない!?」  まだ入れて数十秒しか経ってないんだけど……大丈夫なんだろうか。そんな心配をしつつキッチンに移動。電子レンジから半額弁当を出すと──ちゃんと良い感じに温まっていた。不思議だ──テーブルに置く。 「それじゃあ、いただきます」  今日も無事に食事が出来る事に感謝してフタをあける。すると、すぐにホクホクのシャケやご飯の匂いが僕の鼻をくすぐり、口の中に唾液が溢れだす。うぅむ、流石は月桂k……いや、何でもないよ、うん。
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