6807人が本棚に入れています
本棚に追加
何も出来ずに固まっていると、霙を見ていたそいつが、曲げていた背中を伸ばした。
――――――――嫌な予感。
霙は退く民衆とは逆に、前に進み出た。
「みぞれっ……」
リキの制止の声がかかる。
振り返らずに、霙は腰のベルトに触れた。
そこにあるものを確認して、ゆっくりと抜いた。
《霙さん!》
〈スリィト、聞こえるか?〉
頭の中の友人に語りかける。
《聞こえて…す!》
〈なら、指示を頼む〉
最初のコメントを投稿しよう!