第三話 不断の非日常、変わりゆく空。

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『誰か、助けて』 ずっと願いながら、ずっと言わなかった言葉。 誰も、助けてなんかくれやしない。 解っていたから。ずっとずっと昔から。 ヒタヒタとアスファルトを何かが歩く音が耳に届いた。 ヒタ。 俯せの霙の足元に、立ち止まる気配。 俯せの霙の頭上に、ナイフを手に取る気配。 「みぞれに……触るなよ」 静かな、けれど強く殺気の込められたリキの声。 駄目だ、リキ。 そいつは、駄目だ。 頼むから、逃げてくれ。
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