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『誰か、助けて』
ずっと願いながら、ずっと言わなかった言葉。
誰も、助けてなんかくれやしない。
解っていたから。ずっとずっと昔から。
ヒタヒタとアスファルトを何かが歩く音が耳に届いた。
ヒタ。
俯せの霙の足元に、立ち止まる気配。
俯せの霙の頭上に、ナイフを手に取る気配。
「みぞれに……触るなよ」
静かな、けれど強く殺気の込められたリキの声。
駄目だ、リキ。
そいつは、駄目だ。
頼むから、逃げてくれ。
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