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「よいしょー!」「よいしょー!」
蒼我が杵を振り下ろし、千晴は……何をしているのか、腰を振ってはしゃいでいる。
「おい」
「はい?」
間の抜けた返事をする千晴。
「手ぇ出そうよ」
餅をこねる人がいないのだ。
「あぁ……」
千晴はわざとらしくうんうん頷いた。
「よいしょー!」「よいしょー!」
「よいしょー!」「よいしょー!」
杵で餅をつく。
千晴の手は碓の上を舞う。
「おい」
「はい?」
「餅こねてって言ってるんですが……」
「ああ……」
またわざとらしく頷いた。
「「よいしょー!」」
杵と千晴の手が同時に碓に突入する。
ドスッ
千晴の手が赤く腫れ上がった。
「あ、すみません!」
慌てて謝る。
「いいえ、気にしないで蒼我様。さ、気合い入れてやりましょう?」
その笑顔は、何もかも忘れ去りそうなほど輝いていた。
勢いよく杵を持ち上げる蒼我。
その時、あまりに勢いよく振り上げすぎて、後ろに反ってしまい、家に突っ込んでしまった。
「だ、大丈夫蒼我様……」
その時、杵の衝撃に耐えられなかったのか、後ろにあった家のセットが倒れてきた。
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