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夕食を済ませ、蒼我は縁側に座り、静かな風を感じていた。
「隣、いいかな?」
いつの間にか後ろに千晴が立っていた。
「あ、はい」
となりをばんばんと叩く。
「あの、敬語やめてもらえないですか?」
唐突だった。
「え?」
「だって、蒼我様は私よりちょっと歳上に見えるし、なんか……他人行儀な感じがして嫌だから……」
両手の人差し指をくるくる回しながら言った。
「分かったよ。千晴」
ちなみに千晴は17歳。蒼我はどちらかといえば青年だ。
「寒くないの?」
千晴が両手を擦り合わせて言った。
「うん……まぁちょっと」
蒼我はやはり寒かったようだ。今は1月だし。
「じゃあ……失礼します」
千晴は素早く蒼我に近づき、彼の肩に寄り添った。
「え!?ちょっと!?」
記憶がないので覚えていないが、恐らくこんな経験は初めてだ。
「これから、よろしくお願いします」
千晴はそう言うと、ゆっくりと目を閉じた。
蒼我は千晴の肩をそっと抱き寄せた。
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