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平和主義(バイオレンス)
朝ごはんを済ませ、布団をたたみ、適当に掃き掃除をし、洗濯物を干した千晴は、蒼我の部屋へやって来た。
「蒼我様。お出掛けをしましょう?」
なぜか巫女服を着ている千晴。
「どうしたの急に」
「蒼我様はこれからこの町で暮らすのですから、私の友人を紹介しようと……」
「分かった。なんか支度とかいるかな……」
自分は空から落ちてきたときはふんどし一丁だった。何も持っていないのだ。支度がいるわけもない。
「あ、それならこれを」
千晴は背中に手を回し、どこから取り出したのか、二本の剣と二丁の拳銃のようなものを渡した。
拳銃のようなというのは、それに掴むところはなく、代わりに腕輪のような金具が着いていた。
「なに……これ」
「脚銃っていうの。そのわっかっかを片足ずつ着けて」
言われるようにやってみる。
「こう?」
かなりしっくり来る。
「はい。似合ってますよ」
こんな物騒なものが似合うのは喜んでいいのだろうか……。
「どうやって撃つんだこれ?」
「それは足に力入れればきっと出ますよ。試しにあそこにいるお父さんに撃ってみて」
親に火器を向けるとはどういう用件だろうか。
「じゃあ、バーンと」
言われた通り右足を振り上げ、足首あたりに力を入れてみる。
勢いよく鉛の弾が飛んでいった。
千晴の父親は剣でそれを弾いた。
「ね?」
ね?じゃないでしょう?弾いたからいいものの、もうちょっとで俺、殺人犯だよ?
「じゃあ、行きましょう?」
この娘のペースに飲まれてしまうなぁ俺……。
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