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千晴は雪が降る美しい街を案内してくれた。
途中、八百屋さんや魚屋さん。なんだか怪しい骨董品屋などを回り、挨拶をしていった。
そんな中、とある大きな武家屋敷のような場所を訪れた。
「ここは……?」
何も深く考えず訊いてみた。
「うーん……実はちょっと変わった人なんだけど、まぁ村長さんみたいな人の家だね」
苦笑いで説明する千晴。なるほど。変わり者の村長さんか……。
まぁ、挨拶しておかなきゃいけないだろう。
「ごめんくださーい?」
本来疑問系でも発音が上がらないものを無理に上げたので変な感じになった。
勢いよく玄関が開いた。
かと思うと、なんだかよく分からない触手のようなものが飛び出してきた。
それは勢いよく俺の身体にまとわりつく。
動けない……いやそれ以前に気持ち悪い!
「はははっ!これでお前の力をいただくぞ!」
唐突になんだ!?意味分からない。
だが、ここはボケておくべきだと俺は考えた。声は男っぽかったので、ここはこれで行こう!
「俺、そんな形の愛ならいらないから、ほんといらないから」
あれ?場の空気が変わらないな……。
その時、ちょうど一組のカップルらしき男女が通った。学生服を着ているから学生だろう。
「あら?お取り込み中だったみたい……」
「まぁ、そう言う愛もある」
違うよ!違うんだよ!俺は純粋に一途に貪欲に女性を求めるから!
「あのー。すいません?助けてくれない?このままだと、俺あのお兄さんに今まで大切に取っておいた大事なモノを奪われちゃうんだけど……」
「貴様!誤解を招くことを言うな!」
ようやくツッコンだか、こいつ……。
「え?同意の上での行為じゃないの?」
「警察!警察!」
カップルは百当番通報をした。
「くそっ!厄介だな。だが見ていろ小僧!必ず貴様から奪ってやる!」
触手はほどけた。
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