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服の袖を何かが掴んでいた。
「待ってちょ」
明らかに嘗められているな。
「誰だよ」
袖を掴む未確認生物らしき存在に目をやると、若干透けている美少女がいた。
透けている。というか、下半身が見えない。そこに上半身だけ中途半端に、そして不自然に浮いている。
「……」
ああ、こいつは幽霊の類いだな。確か名前は日光夏(ひみか)とか言ったかな。
神様はなんでも知っているのだ。顔を見ただけでそいつの名前と寿命など個人情報がすぐわかる。
だが、こいつは死んだのはずいぶん前だ。なんでこんなところをうろうろしている。早く天上の国へいけばいいものを……。
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