SKIL

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 カチカチ  掃除を止め、マウスを動かし続ける蒼我。 「おいこら!何勝手に人のパソコンいじってんだ!?」  千晴の父親がどついてきた。 「何見てたんですか?」  千晴が訊ねてくる。  正直、これは年頃の少女の悩みだし、見せるべきだとも思ったが、止めておこう。ショックが大きいかもしれない。 「なんでもないよ。気にしないで。それよりお腹空いたな。晩御飯なに?」  話題を逸らすには、これがいちばんいい選択だろう。 「晩御飯は、私が腕によりをかけて作ります肉じゃがです」  千晴が作るのか。昨日のは美味しかったし、また美味しいんだろうな。 「分かった」  適当にごまかしてパソコンの電源を切る。千晴は台所に向かった。 「まさか貴様、卑猥なものを見ていたのではあるまいな?」  千晴の父親が疑ってくる。あり得ない。 「違いますよ。お気に入りにはそれっぽいの多かったですけど」  ボケてみた。 「貴様ぁ、なぜそれを!」  図星だったのか。まぁ気にしないでおこう。千晴の肉じゃがが楽しみだ。
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