銀色の少年

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「よろしくね。蒼我様」  にっこりと笑顔を輝かせながら言う千晴。 「蒼我…様?」 「はい。後継者となる方だから、そう呼ばせて?」  たった1ページで態度がずいぶん違う気がするが、まぁいいだろう。気にしないでおく。 「じゃあ、蒼我です。よろしく」  起き上がり、膝をつき、お辞儀をする自分。 「あの……蒼我様?」  心なしか千晴の声が震えている気がする。 「?」  頭をあげると、彼女の顔は真っ赤になっついた。 「おい。顔が赤いぞ?風邪か何かが?」 「いえ……蒼我様が……」  自分は何かしたのだろうか……?  ふと自分の体を見ると、蒼我も顔を赤くした。  彼は今、何も身に付けていない。落ちてきた時と変わらず、ふんどし一丁で寝かされていたのだ。 「……なっ!」  まずい。非常にまずい。ここに誰かやってきたら、要らぬ誤解を招いてしまう。 「おーい千晴。あの男は起きたか?」  どすのきいた低い声が聞こえた。ここは千晴の家らしいので恐らくは父親だろう。  ってこの状態を父親に見せるのか!?これじゃあまるで自分が千晴を襲っているようじゃないか! 「ち……千晴!どっかに服とかないんですか!?」  慌てふためく自分。 「いや、その……!」  頼むから落ち着いてほしい。 「入るぞ?」  襖の向こうから声がする。 「と、とりあえず寝てください!」  千晴は強引に自分を布団に寝かせ、掛け布団をこれまた強引に被せた。  ガラッという音がして、襖が開いた。 「寝てるのか?」  寝てません。 「さっき起きたんだけど、まだ安静にしてた方がいいと思って、横になってもらってる」  千晴。ナイスだ。 「そうか。なぁ少年。私と後で勝負をしよう。勝ったら留めてやる」  よくある展開ですね。分かります。
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