それは我が侭な贅沢

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夢中で喋っている内に、なんだか自分でもよく分からなくなってきた。結局、自分はどうされたいのか、と。 そう考えて、混濁した意識の中から浮き上がってきた言葉は、 「私のことを思い切り引っ叩きなさい!」 天子は胸を張って自分の顔を指差した。霊夢がのっそりと起き上がって、ぼりぼりと頭を掻く。 「何。叩いてほしいって?」 「そうよ。ええと、私に対して本気だったら、ちゃんと叩いて叱ってくれる筈で、ね」 「ほうほう。要するに叱ってほしいと」 「そう。なんか多分、そんな感じ」 割と適当に喋った答えなのに、なぜかしっくり来た。 満足して何度も頷く天子の耳に、ふと、「よし分かった」という霊夢の声が届く。
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