それは我が侭な贅沢

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ようやく、私もみんなと同じになれたんだ、と。 何故か、そんな気がした。 「……霊夢」 「んー?」 声をかけると、巫女は寝言のような返事をよこした。起きているのか寝ているのかもよく分からない彼女に、天子は構わず声をかける。いつもと違って、なんでも素直に言えそうな気がした。 「私さ、多分またこういう騒ぎ起こすと思うけど、良い?」 「……よくない。そうなったらまたボコるわよ」 「うんざりするぐらい繰り返すと思うけど」 「そしたらそのたびボコるわよ」 「ホントに、ずっとそうしてくれる? 馬鹿な不良天人だって呆れて、無視したりしない? ちゃんと、私が馬鹿やるたびに怒ってくれる? 叱ってくれる?」 天子がしつこく念入りに問いかけると、霊夢は舌打ち混じりに、面倒くさげに返してきた。 「うるっさいなあ。要はそのたびさっきと同じ風なことすればいいんでしょ、私は。難しいことなんかなーんにもありゃしないわよ。やりたきゃ、やれ」 どうでもいいから静かにしろ、とでも言うように、霊夢は寝転がったままぴらぴらと手を振る。 天子は無言で立ち上がった。不思議と酔いは醒めている。飛ぶのになんの障害も感じない。 そうして縁側から立ち上がろうとしたところで、足元がふらつく、あまりに飲んでいた為だろうか勢い良く転んだ天子は眼前に眠る霊夢に対し、叫ぶ。 「ちょっ!? 退いてーーー!」 「んぁ?」
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