それは我が侭な贅沢

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実際にはもう天子はあんなことになっていたのだから、二人の努力は殆ど徒労である。 お疲れ様、なんて心の中で呟くと、今度は外の方から馬鹿笑いが聞こえてきた。 「ちょっと霊夢、いい笑い話を持ってきたからぜひとも聞いてちょうだいな!」 「ええい、黙れって言ってるでしょうがこのババァ!」 「あんたにだけはババァって言われたくないわ!」 紫と幽香だ。なにやら言い争いながら、居間に飛び込んでくる。そして、出迎えた魔理沙やアリスと好き勝手に話し始めた。 「あら、ずいぶんな惨状ねえ。今日は三人で飲み会かしら?」 「いや、私らが来たときはもうこんなだったぜ」 「へえ。あらやだ、霊夢ったら泥酔してるわね。残念だわぁ、せっかく爆笑面白話を持ってきたのに」 「お、なんだそりゃ、聞かせろよ」 「聞かなくていいわよ、面白くもなんともないんだから」 「それがねえ、このババァったら、石段の下でお花に話しかけてたのよ。『やりすぎちゃったかしら。ねえあなたはどう思う?』なんて」 「うわあ」 「ちょっと、うわあってどういう意味よアリス」 「いや……あの、幽香、一緒に永遠亭に行く?」 「なにその気遣い!? あのねえ、私は本当に花と話ができるんだから」 「でも見かけは頭のおかしい女ですわね」 「うるさいわね紫、あんたこそずいぶんとお節介じゃないの」 「あら、なんのことかしら」 「とぼけないでよね。さっき私が楽しく天人しばいてるときに、霊弾撃って邪魔したのはあんたでしょうに。どうせそれ以前からあの子のこと見張ってたんでしょ」 「ふうん。あなたにしては勘がいいじゃない」 「どういうつもりよ」 「……ま、あの子もなかなか寂しい子だったみたいだし。いろいろと気を遣って差し上げたのですわ」 「フン、ババァらしい年寄りじみた気遣いね」 「メルヘンババァに言われたくないわね」 「ババァは余計よ!」 「メルヘンはいいっての!?」 「おい幽香、そんなことより天人しばいたってのはどういうことだよ?」 「返答次第では私達も紫に味方するわよ」 「はっ、上等じゃない、まとめてかかってきなさいよ」
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