序章

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「…陸議や、陸議」 陸議と呼ばれた幼子は遊戯を中断し、名を呼んだ大叔父である陸康の元へと駆け寄る。 そして幼子特有の愛くるしい無垢な笑みを向けた。 利口な陸議は陸康が自分のこの笑みを大層気に入っていることを知っていたのだ。 「陸議、お前は優しい子だ…」 陸康は微笑みながら優しく陸議の頭を撫でた。 陸議、後の陸遜は幼い頃に父親を亡くし、盧江太守である大叔父の陸康に育てられた。 陸家は呉の四姓と呼ばれたほどの地元の豪族で、陸遜はその一族の一人だった。
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