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「んだよこれ!!」
あたしは苛立ちのあまり、足で蹴り上げた。
その瞬間--。
「あだっ!!痛い、なにするんだ!」
正面から声が聞こえた。あたしは驚き、固まった。
「だ、誰だ!?」
瞬時にそう尋ねると、声の主は言った。
「ワシだ、このたわけがっ!ここだ、扉じゃ!」
あたしはゆったりと扉に目をやった。そこには、あたしが木目かと思っていた場所にどういう訳か、目がついていた。
「え…。キモッ!」
「キモいとは何事じゃ!この無礼な小娘が!」
プンプンと、擬音が聞こえてきそうな怒り方に少し笑いが込み上げたが、何とか抑える。
「あ、口に出してたのか…」
心の中で放ったつもりだったが、口に出していたみたいだ。
「小娘がぁ…。どうしてくれるんだよ、ワシのナイスボディに傷がついただろ!」
え?なに?その扉のどこにナイスボディがあるんだよ?つか、扉全体が顔じゃないのかよ!?
何なんだよ、マジキモい!!
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