白うさぎに導かれ

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見事に空いた穴。あたしは中に首を突っ込んで覗いてみた。そこには闇が広がっていた。無限続く闇が。 うさぎはこの中に入って行ったのだろうか? あたしは生唾を飲み込み、覚悟を決めた。 「せっかく追い詰めたんだ、最後まで追い掛けてやる…」 少し怖いが、きっと地面がすぐそこにあるはずだと自分に言い聞かせ、脚を穴へ入れた。 ゆっくり、ゆっくりと、慎重に。掴まる扉に力がこもる。 その時--。 「この無礼者が!!」 さっきまで静かだった扉が突然、あたしに怒鳴った。そのせいであたしは掴んだ手を離し、穴へ滑り落ちてしまった。 気づいた頃には遅く、あたしはどんどん闇に飲まれていった。 「このクソじじぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 地上の光が見えなくなった頃、あたしの意識は徐々に失われていった。だが不思議な事に、死ぬという意識は一切なかった。まるで眠る時のように薄れ始めた。
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