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さて、どうしたものか…。
ぎゅるるるるー…。
あたしが軽く腹部に力を入れた瞬間、腹の虫が悲鳴を挙げた。つまり、空腹なのだ。
「腹…減ったぁ…」
そういえば、昼から何も食べていなかった。あたしはお腹に手を当て、よろよろと覚束無い足取りで歩き始めた。
せめて何か木の実でもと思い、森へ足を踏み入れた。
木の上で小鳥のさえずりが聞こえる。あたしは、そんな小鳥を眺め、食べられるだろうかと思いを巡らせていた。
その時、目の前の草が音を立て、白い耳が草の間からにょきっと顔を出した。
ん?白い耳…。あれはうさぎの耳だ!
うさぎ…確か食えるハズっ!
凄い。あたしってこんなに速く動けたんだ。
驚く事に、凄いスピードだ。きっと飢えのおかげなのだろう。
手が耳に伸びる。もう少し、あと少し。今だっ!
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