あたしはメルヘンの類いが嫌いだ

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ヤバい、冗談抜きで入るっ…! 「てめぇ…覚えてろ…」 「ジュルリ…ハァハァ」 今までにない屈辱だった。姉のアリエットですらやらない屈辱攻撃。あたしはただ、目を綴じて耐えるしか術はなかった。 が、その時--。 「こらぁぁぁ!リタ、そこまでよ!」 大きな声が森中に木霊し、あたしの花園へ侵入する手をピタリと止めた。間一髪という所だ。 あたしは心の中で安堵の息を漏らし、声のした方へ目を向けた。 ガサガサと音を立て、出て来た人物は、黒衣の軍服を身に纏ったポニーテールの女の子だった。 「あ…あ…いや、違いますですよ!こ、これは決して…「問答無用!お前は地下牢行きだ!」 よく分からないが、ウサ耳女は黒衣の軍服に頭が上がらないらしい。あたふたと、慌てふためている。 回された手も解かれ、あたしは更に安堵の息を漏らした。
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