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「アリスは本当に弱いよね~」
ケラケラ笑う悪友に苛立ちを覚えたが、何とか抑え、言う。
「笑い事じゃなねぇよ。あれは悪魔だぜ…」
だっていつも笑顔で怒るんだから。
笑顔だよ?
笑顔で一張羅を燃やすなんておかしいだろ!
「悪魔って…。私はそうは思わないけどな~。あんな綺麗な姉さん羨ましいわ」
羨ましい?コイツは馬鹿か?馬鹿なの?死ぬの?
「お前、おかしいだろ!あんな魔王のどこがいいんだよ!?ぜってぇありえねえよ!!」
気づけばあたしは叫んでいた。そんなあたしに対し、悪友は相変わらずケラケラと笑っている。
「はははっ!やっぱあんたといると面白いわ。アリス、わた………」
最後まで言い切る前に、突然悪友の表情が固まる。しかも少し青ざめている気がする。
「あん?どうしたんだよ?ん…?」
あたしは突然、背後に気配がある事に気がついた。その気配はどこか冷たく嫌な予感がした。
そして、あたしが振り向こうとした瞬間、肩に置かれた謎の手にそれを阻止された。まるで、「振り向くな」とでも言わんばかりに。
「勝手にお邪魔してごめんなさいね」
聞き慣れた声。その声はあたしを絶望へと導く合図のようだった。
そう。この声は…。
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