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「くっそぅ…。あのアバズっ………いないか…」
今度は無意識に言い出していたあたしは、危うく“レ”を言い切ってしまうところだった。
そして、最後の言葉を言いかける時、あたしはハッとして背後を確認した。
そこには姉さんの姿はない。それもそのはず。姉さんは遊びに…ゲフンゲフン、買い物に行ったからだ。
あたしはブツブツと不変を漏らしながら、姉さんに頼まれた(強制的に)洗濯物を干す作業へと戻った。
「ったく…何であたしが……ん?」
丁度あたしが靴下に手を掛けた時、風で白いシーツがなびき、緑色の草原が見えた。そして、その緑色の草原の上で、白い物体が動いた。
私はよく目を凝らした。物体は上下に揺れている。まるでジャンプしているかのようだ。
「何だアレ?」
気になったあたしは近くに寄る事にした。すると、白い物体はうさぎのような姿をしていた。いや、間違えない。うさぎだ。
最初私は、姉さんに捕られた抱き枕かと思ったが、当然有り得ない事なのでかぶりを振った。
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