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「うさぎ…なのか…?」
姿形、どう見ても白うさぎだ。だが、飼われているのだろうか、服を着ている。
そして、右手には銀時計を。左手には……。
「な、なっ!何であたしの下着持ってんだよっ!!」
気付くとあたしは、左手に持っている下着を指差しながら大声で叫んでいた。
すると、あたしの声で白うさぎは瞬時に走り出した。まるで、スタートの合図を待ちわびていたかのようだ。
あたしは呆気に取られ、走り去る白うさぎの背を呆然と見ていた。
何メートル走ってのか、随分離れた白うさぎが立ち止まり、こちらを振り向いた。そして、持っていたあたしの下着を掲げると、挑発するように揺らした。ここでようやく、あたしは我に返った。
「っ!!ま、待ちやがれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
さっきと同じく、大声で叫びながら白うさぎを追い掛けた。
それを見た白うさぎも、また走り出し、いつの間にか鬼ごっこのような展開になった。
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