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「待てぇぇぇぇ!この変態うさぎィィィィィ!!」
追い掛けるあたしに対し、白うさぎは何度も後ろを振り向き、あたしを確認する。心なしか、白うさぎが焦っているように見える。
だんだんと距離が縮まり、あたしは白うさぎに腕を伸ばす。
届きそうで届かない。凄くもどかしい。
すると前方に、行き場を憚るように大きな木が聳え立っていた。
しめた!追い詰めてやる!
誰もが勝利を確信しただろう。だが、それは無惨にも打ち砕かれた。
うさぎがあたしの視界から消えた。
一瞬、何がどうなったのか分からなかった。だが、あたしは気づいた。大きな木に、扉がついていたのだ。木と同じ色で、よく見分けがつかないが、確かに扉がついている。
あたしは何の迷いもなく、ドアノブに手を掛けた。
そして開……かなかった。
どういう事だ!?鍵が掛かっているのか!?
まるで石のように動かない扉。いくら引っ張っても、ビクともしない。
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